4.28.2015

Team Creation




先週末、少し調べものにとアドミュージアム東京に行ってきた。

汐留は便利なようでいて、実は少し不便だ。。 浜風が気持ちよかった。




最近はギャラリーや美術館から足が遠のいてしまっているが、久々に訪れてみて新鮮だった。


広告製作やその現場については学生だった頃から色々と耳にしてきたが、最も着目すべきだと近年感じているのは、

「チームのメンバーの名前と役割を明らかにする」

という点だ。


クライアントからプロダクション、エージェンシー、クリエイティブディレクター、アートディレクター、デザイナー、コピーライター、カメラマン、場合によってはレタッチャーまで、詳細に個人や企業の名前が明記される。


広告製作の現場は、多様なプロフェッショナルが多数携わらなければ完成させることができない規模の大きなプロジェクトも多いので、このような仕組みづくりがきちんとシステム化されてきたのだろう。



「クリエイティブ」と一言で業界を括ってみても、ここまで個人名と役割を公にできているデザインの現場は少ない。


自身が経験を積んできたインダストリアルデザインの世界などは、特にそうかもしれない。


実際に、理解に苦しむ思いをしたこともある。





併設されている広告図書館にも初めて足を踏み入れてみた。

広告界という限られた分野の中の文献としては、申し分のない量だった。







懐かしい年代の、懐かしい作品集も手に入れてみた。


最近はテレビをほとんど見なくなったが、あの頃はよくテレビを見た。

記憶に残る CM も多く掲載されていた。


最近よく CM で見る安っぽいアニメーションやわざとらしい CGエフェクト のない、ウィットに富んだ作品が多かった。



また、広告の概念を変えるような作品がでることを期待したい。






A.Oono

Borderless Inc.

4.24.2015

カールツァイスのBatisシリーズについて思うこと。


こんにちは、DKです。

カールツァイスが22日、ソニーEマウント用レンズの新シリーズ「Batis」を発表しました。
先に発表、発売されている「Loxia」シリーズと違い、AFレンズになっています。

Batis 2/25


鏡胴に有機ELディスプレイを備えるのが特徴で、合焦距離と被写界深度を表示するようです。


Batis 1.8/85


カメラは日々進化し続けていますが、レンズは逆に退化してきたと言えると僕は思います。
なぜなら、ボディのオート化、デジタル化にともない、レンズに割り振られていた大半の機能が失われてきたからです。
例えば、AF化によってMF専用のピントリングが無くなり、距離目盛りをつける必然性も薄くなりました。また、絞り機構伝達のデジタル化で、絞りリングも無くなりました。

昔のMFレンズの例


現代のAFレンズの例(SIGMA DNシリーズ)

極論言えば、現在のレンズは一切人の手で操作する必要のない、単なるガラスの詰まった筒になっています。もちろん、現代のすべてのレンズがそうではないし、逆説的に言えば、それだけ便利になっているとも言えます。

今回のように、レンズにディスプレイという新たな機能を付けたことで、レンズ本体の利用価値が再び高まるのであれば、今後もデジタルならではの新しい価値が生まれてくるのでは、という想像が広がります。

4.21.2015

亀倉雄策生誕100年記念「デザイン飛行」










こんにちは、河野です。

亀倉雄策生誕100年記念「デザイン飛行」の展示を見にいってきました。

亀倉さんは今ほど日本がデザインを重要視されていない時代に活躍し、
日本のグラフィックデザインに大きく貢献された方です。

例えば、東京オリンピックのポスターやグッドデザイン賞のロゴマーク、日本で初めてのグラフィックデザイン誌「クリエイション」の編集者でもあります。

東京オリンピックのポスターなんかは、大胆な日の丸、緊張感のあるレイアウト、スポーツ選手の躍動感などが伝わり、今見ても刺激的で古さを感じさせないデザインだと思います。

時代の流行を取り入れたデザインも必要ですが、時間が経った後でも鮮度の感じるデザインの重要さを改めて感じた展覧会でした。

次回の東京オリンピックの印刷物は、どんな構成になるのか今から楽しみです。

Borderless Inc.

4.15.2015

Still Design : Milano Design Week







ミラノ・デザインウィークが昨日 14 日から始まった。

19 日までは、ミラノは世界で最も感度の高い、新しいデザインの祭典だ。


きっと世界中の腕利きデザイナーが集う、華やかな場所に違いない。



友人知人も何名か視察や展示などで現地に行っているようだ。

・・楽しそうな様子が目に浮かぶようだ!



はっきり言って、とても行きたい。でも、そんな暇はない。


近いうちにプロジェクト関連で行くような気はするが、根拠はない。



自身、プロダクトデザインを手がけてきたと言っても、家具や雑貨などとは少し分野が違ったので、「動かないデザイン」の魅力についてはまだまだ勉強中だ。


今年はニュースなどで様子をチェックしよう。


近いうちにオランダなどに Borderless Europe を設立して、現地で動向をチェックできるようにしたい。


そのための準備でやらなければいけないことがまだまだたくさんあるので、今はひとつひとつ、準備を整えていきたい。







A.Oono

Borderless Inc.

4.14.2015

「物 物」という本。




こんにちは、河野です。

最近人から頂いた、本を紹介したいと思います。

画家の猪熊弦一郎さんが集めた「物」をスタイリストの岡尾美代子さんが選んで、写真家のホンマタカシさんが撮影されています。

淡々と猪熊さんが選んだ旅先で出会った物、ご自身で少し手加えられた物、お気に入りの物が載っています。

それに対して、岡尾さんとホンマさんが「ぶつぶつ」となんでもない会話(でも少しくすっと笑えたり)が載せられていて、なんともいい雰囲気。
中のデザインも文字は少なく、余白をたっぷり使い、読む人が肩肘張らない余裕のある構成で仕上がっています。

リラックスしたい時に読みたい本です。

タイトルの「物物(ぶつぶつ)」もユーモアがあっていいですね〜

今回は頂いた物で、その人目線の物を頂くと、新しい気づきがあっていいなと思いました。

書店で見かけられましたらぜひ。



Borderless Inc.

4.13.2015

Bolsey Cというアメリカ製のカメラ。

こんにちは、DKです。

今日はまた古いカメラについて書こうと思います。






Bolsey Cというカメラ、35mmフィルムを使用するカメラですが、ウエストレベルファインダーを持つ2眼レフでもあるのです。おまけにレンジファインダーも搭載されています。


メーカーは「ボルシーアメリカ」というアメリカのカメラメーカーで、1950年から5年ほど製造されていたようです。残念ながら今は存在しません。

はっきり言って、とても使いにくかったのですが、前方の風景を上から覗くという今のカメラには無い体験が出来るため、全体としては楽しいカメラでした。



不満は重たい事です。機械式のカメラなので仕方ないとはいえ、持ちにくいボディ形状がそれに拍車をかけています。大きくRのついたボディ形状は、かえってしっかりと握ることができません。レンズ部分が前面のスペースを大きく取っているため、指部分のクリアランスが取れていないためです。背面も母指球(親指の付け根)にフィットしないため、やはり安定しません。

また、売りであるはずのウエストレベルファインダーは、お世辞にも見やすいとは言えないものでした
性能もシャッタースピードの上限が1/200までなので撮影表現の幅は狭かったです。全体の操作感も、操作部が小さいのと反応が薄く、ほんとに動いているか分かりにくい面もありました。

性能や精度は二の次に、35mmカメラに2眼レフ式ファインダーを載せ、さらにボディにメッキ加工を施して光沢のある銀色にしてしまうところが、いかにもアメリカらしいなと思います。

今ではフィルムを通すこともありませんが、ファインダーに映る像をたまに覗いてみる事があります。

4.10.2015

Brilliant Material Classics





久しぶりに工場見学に行ってきた。

各地の工房や工場を訪れて、自分の眼で確かめるのはやっぱり楽しい。




この美しい素材は何だろう?








答えは、

光学ガラスの塊。




ガラスは古くから人々の生活に溶け込んだ、なじみ深い素材だが、こういった風に無垢で生産するのは難しいそうだ。


この重量感や複雑な乱反射、透明感、コントロールしきれない自然ならではの荒々しい形状は、とても魅力的に見える。


ガラスの製造は、熱と空気、重力との戦いだそうだ。








この力強い素材の表情を、是非デザインに生かしたいと思った。









A.Oono

Borderless Inc.

4.09.2015

アートディレクターとは




こんにちは、河野です。

先日、宣伝会議さんのアートディレクター養成講座の説明を受けにいってきました。

そもそもアートディレクターとは…?



アートディレクターArt Director)とは、美術表現、芸術表現をもちいた総合演出を手がける職務を意味する。商業活動のなかでは、広告宣伝グラフィックデザイン装幀などにおいて、主に視覚的表現手段を計画し、総括、監督する職務である。顧客の依頼・要望あるいは、立案された計画を目的達成するための素材や表現方法を模索し決定する。例えば、写真の風合いや対象、文字の書体や位置、色彩の組み合わせなどを考察する。実際に手を動かして作業する人間はデザイナーであり、アートディレクター兼デザイナーという表現をする場合もある。また、各種美術展・作品展の企画・立案・運営を専門的に行う職務でもある。

Wikipediaより抜粋


とあります。
簡単に言えば、クライアントの意図を理解し、デザインの方向性を決め、デザイナーに指示する監督のような立場の人かと思います。

でも今はより、幅広くなってきていると言われています。

例えば、あるアートディレクターの方は、
アートディレクターとは「経営者の右脳」とおっしゃっています。

左脳が数字を見る能力としたら、右脳はクリエイティブな能力をもつ部分。
自分も経営者の右脳になったつもりでその会社がどうしたらより良くなるのかを
クリエイティブな視点で支えるということかなと思います。

経営者の方もデザインに興味を持つ方が増え、直接商談する機会も増え、
デザイナー自身が経営にまで関わることが増えつつあるそうです。

そろそろ私もアートディレクターという言葉を意識的にもちつつ、
物事をより深く多角的に、常にフレッシュなアイデアをその場で出せるようにしていきたいと考えています。




Borderless Inc.

4.07.2015

THULE Covert DSLR Messenger について

こんにちは、DKです。

今日は自分が使っているカメラバッグについて書こうと思います。





THULEのCovert DSLR Messengerです。

かつて使っていたカメラバッグは1台用の小さなもので、カメラを2台持つ様になったため新しいものを探していたところ、この製品を見つけました。最初はカメラバッグの野暮ったさがない見た目のデザインに惹かれました。

使ってみるととても優秀で、下の写真のように、背中側から前まで本体を寄せることができ、上面にあるジッパーを開けて中の物がすぐに取り出せる様になっています。




収納面ではデジタル一眼レフカメラが2台、レンズを付けたまま入り、それでも余裕があるので、撮影の時に重宝しています。インナーバッグには仕切り板があり、自分の機材に合わせた収納も可能になっています。
このインナーバッグは取り外せるので、普段は15インチのノートPCが入る通勤用バッグとして使っています。大変便利です。




肩パットが固定のため、左肩にしか掛けられないデメリットがあるという意見をネットで見かけますが、実際に使ってみると右肩から下が完全に自由になるため、撮影時のフィーリングを妨げないメリットをとても感じるのと、余計に動くことがないので肩からズレることなく安定して背負えます。パットは動かないですが、もちろん右肩で掛けられないこともありません。

疲労度で言えば、両肩で重さを支えるリュックタイプの方が圧倒的に有利でしょう。
この辺りの話は自分の要望の比重をどこに置くかの好みでしょうか。

他の特長として、ファスナーも含めて全体が撥水加工されているのと、表面のロゴプリントに反射素材が使われていてアクセントになっています。
ふたのフチの半光沢部分は硬質素材になっていて、長期間使用しても折れたり丸まったりしないようになっています。インナーバッグの仕切り板が蛍光色の青なのはカメラボディ、レンズが黒色だからでしょう。バッグ中の視認性を高めています。

4.06.2015

Unfilled Products









デザイナーになって 10 年ほど経ち、モノを見る目が昔に比べて厳しくなったように思う。



昔から色々なものをテストして、比べてみるのが好きだった。

どうせ手に入れるなら、手の届く範囲で最高のプロダクトが欲しい。




ここ数年で、どうしても満足に手に入れられないものがある。自分にとっては重要なプロダクト。

ヘルメット。



少し研究してみようと、長年使った愛用のヘルメットをバラしてみた。







約 30 パーツほどで構成されているが、シンプルなものだ。

FRP、ポリスチレン、スポンジ。



もっといいデザインができる、と思う。






A.Oono

Borderless Inc.

4.04.2015

Renard GT

こんにちは、DKです。

今日は今、気になっているバイクの紹介をしたいと思います。

Renard Cyclesという会社が2010年に発表した「Renard GT」というバイク。

Renard Cyclesは1938年に創業したエストニアのバイクーメーカー。
第二次世界大戦で工場が壊されてしまい、現代まで完全に潰れていたところを、2008年に自国のバイクメーカーの復活を目的に、エストニアの企業家やデザイナー、エンジニアが立ち上がったようです。

このRenard GT、バイク単体で見るより人が乗った写真にグッときました。
僕はバイクに関してさっぱりなのですが、バイクにまたがったフォーム時に前方が開けていて、「大きなバイクに乗っかってる感」が無いのが良いと思いました。


こちらがムービー


ちなみにこのバイク、1台1200万円程度の値段らしいです。

4.02.2015

SAKURA blooms and drops



東京都心はもう桜の見ごろが過ぎたようだ。


一昨日、昨日の午後までが最高に綺麗に咲いていたと思う。

今日見た限りだと、昨日の午後の雨で少し散ってしまった様子だ。



古歌で言うと、


春雨の

降るは涙か桜花

散るを惜しまぬ

人しなければ



こんな感じだろうか。


桜の歌は昔から多いが、いちばん心に残っているのはこれだ。



花の色は

うつりにけりないたずらに

我が身世にふる

ながめせしまに





* * * * *





まだ肌寒い季節に、桜の下で地べたに座って宴会をする日本人の風習を欧米人は信じられないと言うようだが、見ごろがたった数日しかないこの花を、少しでも長く見ていたい気持ちは、きっと日本人特有のものなのだろうと思う。



前職の仕事で、入社二年目に開発チームに潜り込ませてもらったプロジェクトがある。








2007 年の東京モーターショーでお披露目された、XS-V1 SAKURA というモデル。



発表以降、色々なところで反響があり、いまだに「市販化はまだか」の声が聞かれる。


人づてに、「SAKURA に乗るために大型免許を取りました」というエピソードを聞いたときは嬉しかった。


まだ駆け出しのデザイナーで、大きな部分でデザインに関わることはできなかったが、先輩や上司に喰らいつきながら、パーツのデザインをいくつか担当させてもらった。












本当に世に出ることがあれば、春に桜が咲くように、多くの人が喜んでくれると思う。








神田川で。









A.Oono

Borderless Inc.

4.01.2015

Lee Kuan Yew's Grand Design





先月 23日に Lee Kuan Yew シンガポール元首相が亡くなった。

シンガポールへはまだ降り立ったことはないが、必ず行きたい国の1つだ。




日本在住のシンガポーリアンの友人がこのことについて語っているのを横で聞いていた。

彼女は生まれた頃から Lee 氏が首相、上級相、内閣顧問だったことしか知らないはずだが、自分たち国民の家族のように話すのを印象的に思った。


彼女の母親は Lee 氏が亡くなったニュースを聞いて、涙を流したそうだ。




今やシンガポールは東京と並ぶ、もしくはそれ以上に重要なアジアの拠点として認知されているが、国が生まれて、わずか 50 年でこの地位にいるのは驚異的なことだ。


国自体のコンセプトを経済発展、豊かな国にすることと堅く定め、それにフォーカスして国を創り上げた Lee 氏は、国家そのものをデザインした偉大なデザイナーだと思う。


悔し涙を流しながら行った 1985 年 8 月 9 日の独立宣言は、当時の国民にとって壮絶なものだったに違いない。


経済、知性、言語、清廉・清潔、また一貫して知的エリートを国全体で育てる方針など、
独裁的と批判されながらも国の成長と発展のために実施した創意工夫は、実に柔軟な発想とクリエイティビティに富んだものだったと思う。


東京 23 区ほどの大きさ、日本の総人口の 4 %、東京の人口の 40 %しかいない小さな国を、50 年でここまでリーダーシップを持つ大きな国にした Lee Kuan Yew氏について、ほんの少しでも身近に感じ、知ることができて良かった。








A.Oono

Borderless Inc.