10.26.2015

Niche is Cool

ニッチであること。


ベンチャープロジェクトをするには必要なことだと思うのだが、なかなかそれを
実現していくのは難しい。

ニッチであればあるほど、消費者と投資家の興味を引くことは難しいからだ。

しかも、ニッチはニッチでも選択を間違えたニッチは悲惨だ。

ここが重要なポイントかもしれない。










GoPro のストーリーは、モノをデザインする身としてはとても胸に響くものだ。


「自分のサーフィン映像をカッコ良く撮りたい」


プロダクト開発の動機ははじめはそれだけだったそうだ。

そして実際に試作機を取り付けてサーフィンした。サーフィン専用の、小型ビデオカメラ。

究極のニッチマーケットだと思う。


レーシングカーに取り付けて撮影している有名な映像ですら、たまたま偶然、その用途を思いついたものだそうだ。


GoPro は究極のニッチから生まれた好例だと思う。

その後 動物や、赤ん坊に取り付けて彼らの視点を記録する新しい使い方がユーザー主体
で行われ、それを体験したいがために皆がこぞって GoPro を購入した。

今や他社の類似製品の追随を許さない、300万台以上を売り上げる人気製品になっている。


開発当初は投資家はほとんど見向きもしなかったんじゃないか、と思う。

GoPro の投資家リストは

SteamboatVentures, Riverwood Capital, Sageview Capital, Walden International, US Venture Partners

 いわゆる「よく名前を見る」類いの投資会社ではないようだ。


ニッチでありながら、人の心を捉えて離さない体験が提供できたら、成功するんだと思わされる。





もう一つ、ニッチと言うのか、そもそも必要とされていたのかと思ってしまう製品。

Nike Air Max '95。


この頃にこんな尖ったデザインのスニーカーは見なかったし、流行っていたわけでもなかった。

突然表れて、爆発的にヒットした、良い製品だったと思う。

履き心地も最高で、機能的にも優れた製品だった。(エアは脆かったが)

(何だか久しぶりに見ると欲しくなってきた!)







Nike はこういったベンチャー精神というか、「時代の気分」をしっかり捉えた製品づくりが上手いと思う。

「みんなが欲しくて、世にないものをつくる」姿勢が一貫していて楽しい。


先日の「Back to the Future」に登場したスニーカー「Nike MAG」も、 M. J. Fox 自身を起用して発表するなど、ユーザーを楽しませてくれる。



靴ひもが自動で締まるスニーカーなど・・


と世の目利きのキャピタリストは笑うかもしれない。

でも、発売された時には一番に買いたい、と個人的には思う。











A.Oono

Borderless Inc.

10.17.2015

つくる : Make Things


先日、資金調達に特化したセミナーに参加してきた。

この手のセミナーにはほとんど参加したことがなかったが、自分の見えていなかった領域や考え方を知るとても良い機会になった。



ベンチャープロダクトをつくり始めるスタートアップは、どうしても開発資金が枯渇しがちだ。それを補うために様々な方法で資金調達をする。

家族や知人、銀行からの借り入れは昔から一般的だが、近年では株式交換を利用しての資金調達も多いようだ。

エンジェル投資家やベンチャーキャピタルも投資に積極的になってきているとも言われる。

セミナーでは、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、グロービスキャピタルパートナーズ、サイバーエージェントベンチャーズ、YJ キャピタル、インキュベイトファンドといった投資会社やファンドのキャピタリストの面々が、投資に値する事業やトレンド、調達で気をつけるべきポイントなど個人的に非常に興味深く聞くことができた。(専門用語もかなり多く難解だったが)



特に印象深かったのは、このところ国内の投資が過熱気味なので、投資には慎重になっている、という話。

あと、モバイルゲームや SNS、WEBサービス系のベンチャーが一段落し、次の注目分野についての話だ。


業界内では常識なのかもしれないが、これからの投資の注目分野は

・ヘルスケア
・バイオ
・VR
・AI
・IoT 
・宇宙開発

なのだそうだ。

しかしどれもまだ技術的に画期的にスケールできそうなものは見つからず、しばらくは静観する、ということだった。


ただ、US ではこの分野では 2013 〜 2014 年にかけて買収の大きな動きもあったので、少し流れに差があるようにも感じる。
Oculus VR の facebook による 20 億 USDの買収は記憶に新しい。

あまり詳しくはないが、AI 分野のベンチャーについても記事を目にすることは多い。

ヘルスケア分野でも Theranos の企業価値の増加はよくニュースにあがる。



個人的に気になったのは、終始話の中心にあったのは「これまでのWEBサービス」にフォーカスしたベンチャー投資だったこと。

GREE や DeNA、CrowdWorks など、確かに国内では何かと話題に上がることの多い企業だが、世界に新しい何かを提案するほどのスケールがあるかと言われると、実感がわかない。


ひょっとすると、「モノのビジネス」に対する知識や投資ノウハウが投資家の間にまだ溜まっていないのかもしれない。


質疑応答のとき、ある壮年の方が

「IT 分野の投資については非常に良く分かったが、『モノづくり』についてはどう思っているのか」

と言われた時の場の凍りついた感じがなかなか面白かった。

きっと誰にも分からなかったのだろうし、スケールする可能性そのものが分からない(試算できない)のだと思う。



自身がプロダクトデザイナーということもあり、これまでの生活の興味の中心はいつも

「衣・(食)・住」
「遊・登・泳」

に関するものだった。


画面の中の世界に心の充実を見いだしたことは一度もない。


同じ US 発のサービスでも GoPro を使ってのアクティビティや動画をいじる方が好きだし、Google よりも Apple のビジネスモデルの方が好きだ。

自分のオリジナルで組み上げた自転車を漕ぐ疾走感や、愛車のクラシックミニの挙動やダイレクトな操作感、初めてヨーロピアンビッグシングルに乗った時の笑いがとまらないわくわく感など、「モノ」をもっと突き詰めて、便利でより良い姿にデザインしたい。


WEB サービスの開発よりも、よっぽどリスキーでたくさんの行動が必要(だと勝手に思っている)だが、ひとつずつクリアしていきたい。









A.Oono

Borderless Inc.

10.16.2015

IoTについて その11

IoTについて調べてみると、どれもBtoB向け製品が多く、また古くから研究されすでにその多くが実用化されつつあることが分かってきました。

今回紹介するのはAmazonの膨大な注文を捌く配送センターで使われているロボット、「Kiva」です。

Kivaはルンバのような形をしており、コントロールセンターから司令を受けると商品の入っている棚をを持ち上げ、梱包作業場まで運びます。Kivaの導入によって、梱包作業場を離れて商品を探しに行く必要が無くなり、さらに人が通るスペースを確保する必要が無くなる事で、より多くの在庫を確保できるようにもなっています。


この新しいシステムによって作業効率は2〜3倍まで向上、コストは20%削減することができたとのこと。Amaznon全体の人件費では、金額にしておよそ500〜1000億円の削減にもなるそうです。

Amazonはドローンを使った30分以内の宅配サービスを計画中であるなど、自動化について積極的です。現在のところ、梱包作業は手作業のようですが、いつかは工場から配送まで完全自動化されるかもしれませんね。
Amazon Prime Air

10.01.2015

Most Innovative Company 50

最近、色々な記事で「最もイノベーティブな◯◯」というランキングを目にするようになった。


どういった評価基準をもってランク付けをしているのか、まで読み込むことは少ないが、興味のある記事なので 50 位くらいまでは流し見ることも多い。



インターネットで検索をかけると、海外の出版社や学術機関ではそれぞれ独自の基準で" The World's Most Innovative Company "をランキングしているようだ。


面白いと思ったので、一つのページ内に列挙してみようと思う。



始めに目にしたのは MIT によるもの。
( MIT = Massachusetts Institute of Technology )

言わずと知れた理系の世界最高峰教育機関。


Ranking 50 :

1. Illumina

2. Tesla Motors

3. Google

4. Samsung

5. Salesforce.com

6. Dropbox

7. BMW

8. Third Rock Ventures

9. Square

10. Amazon

11. Tencent 12. Snapchat 13. Cree 14. Box 15. Bright Source Energy 

16. Wal-Mart Stores 17. General Electric 18. Qualcomm 19. Kaggle 20. Second Sight

21. SpaceX 22. Kickstarter 23. Hanergy Holding Group 24. Siemens 25. 1366 Technologies

26. Uber 27. Evernote 28. Baidu 29. GitHub 30. Xiaomi

31. Oculus VR 32. Qihoo 360 Technology 33. Monsanto 34. Aquion Energy 35. IBM

36. Jawbone 37. Medtronic 38. Valve 39. Genomics England 40. D-Wave Systems

41. Siluria Technologies 42. Kaiima Bio-Agritech 43. Datawind 44. Freescale Semiconductor 45. Upworthy

46. LG 47. Expert Labs 48. AngelList 49. Arcadia Biosciences 50. Ripple Labs


日本企業の元気がないのがよくわかるリストだと思う。
テック系スタートアップのランクインが目立つ。



次は Forbes によるランキング。

Forbes は言わずと知れた経済誌。日本版も最近刊行された。


Ranking 50 :

1. Tesla Motors

2. Salesforce.com

3. Alexion Pharmaceuticals

4. Regeneron Pharmaceuticals

5. ARM  Holdings

6. Uniliever Indonesia

7. Incyte

8. Amazon

9. Under Armour

10. BioMarin Pharmaceutical

11. Baidu 12. AspenPharmacare Holdings 13. Monster Beverage 14. Catamaran 15. Vertex Pharmaceuticals 

16. FleeCor Technologies 17. CP All 18. Verisk Analytics 19. Rakuten 20. Shanghai RAAS Blood Products

21. Naver 22. Hermes International 23. Magnit 24. Chipotle Mexican Grill 25. The Priceline Group

26. Red Hat 27. Netflix 28. Amorepacific 29. Marriott International 30. Mead Johnson Nutrition

31. Valeant Pharmaceuticals 32. Visa 33. Coloplast 34. Cerner 35. Illumina

36. MasterCard 37. Stericycle 38. Fast Retailing 39. VMware 40. Perrigo

41. Hindustan Uniliever 42. TransDigm Group 43. Keurig Green Mountain 44. Fastenal 45. Starbucks

46. Cielo 47. Almarai 48. Kone 49. Iliad 50. Whole Foods Market


" Pharmaceuticals "の製薬関連の企業が目立っているように思う。

MIT のランキングと比べると、テック系スタートアップの割合が少なく、より産業全体の中の" Innovative "を考察しているように感じられた。

ただ、日本では聞いたこともないような企業も多いので、どこまで" World's Most "なのかは
わからない。



次は FAST COMPANY のランキング。

FAST COMPANY も有名な経済誌だが、日本だとあまり馴染みがない。Magazine of the Year 2014 を獲るほどの非常にエクセレントな雑誌だそう。今度読んでみよう。


Ranking 50 :

1. Warby Parker

2. Apple

3. Alibaba

4. Google

5. Instagram

6. Color Of Change

7. HBO

8. Virgin America

9. IndiGo

10. Slack

11. Houzz 12. Catapult 13. Inventure 14. LINE 15. WeWork 

16. Gilead Sciences 17. Tesla 18. Toyota 19. Cree 20. Stripe

21. Next Big Sound 22. Da-Jiang Innovations 23. Eataly 24. Fuhu 25. Apricot Forest

26. E La Carte 27. Panera Bread 28. General Assembly 29. Ammunition 30. Netflix

31. Made In Kigali 32. SoundCloud 33. Kickstarter 34. Wandoujia 35. Gumroad

36. Westfield Labs 37. AnyPerk 38. American Giant 39. Revolution Foods 40. Ikea

41. Samsung 42. Algramo 43. 72andSunny 44. Silver Crystal Sports 45. Anki

46. Perfint Healthcare 47. Omada Health 48. El Mind A 49. Mark43 50. L'Oreal



同じ US の経済誌でも評価ポイントが違うとここまで違うのか、と驚く。

ひとつひとつの企業の認知度の面からいくと、比較的若い人にとっては「なるほど!」と思えるランキングかもしれない。


いずれにしても、日本発の企業・スタートアップのランクインが目立って少ないのが気になった。残念だ。

日本の企業が" Innovative "と見られない理由をじっくり考えたい。









Tesla Motors のファクトリー。ほぼ全ての工程がロボットによるオートメーション。
これは確かにイノベーティブだ。





A.Oono

Borderless Inc.