先日、資金調達に特化したセミナーに参加してきた。
この手のセミナーにはほとんど参加したことがなかったが、自分の見えていなかった領域や考え方を知るとても良い機会になった。
ベンチャープロダクトをつくり始めるスタートアップは、どうしても開発資金が枯渇しがちだ。それを補うために様々な方法で資金調達をする。
家族や知人、銀行からの借り入れは昔から一般的だが、近年では株式交換を利用しての資金調達も多いようだ。
エンジェル投資家やベンチャーキャピタルも投資に積極的になってきているとも言われる。
セミナーでは、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、グロービスキャピタルパートナーズ、サイバーエージェントベンチャーズ、YJ キャピタル、インキュベイトファンドといった投資会社やファンドのキャピタリストの面々が、投資に値する事業やトレンド、調達で気をつけるべきポイントなど個人的に非常に興味深く聞くことができた。(専門用語もかなり多く難解だったが)
特に印象深かったのは、このところ国内の投資が過熱気味なので、投資には慎重になっている、という話。
あと、モバイルゲームや SNS、WEBサービス系のベンチャーが一段落し、次の注目分野についての話だ。
業界内では常識なのかもしれないが、これからの投資の注目分野は
・ヘルスケア
・バイオ
・VR
・AI
・IoT
・宇宙開発
なのだそうだ。
しかしどれもまだ技術的に画期的にスケールできそうなものは見つからず、しばらくは静観する、ということだった。
ただ、US ではこの分野では 2013 〜 2014 年にかけて買収の大きな動きもあったので、少し流れに差があるようにも感じる。
Oculus VR の facebook による 20 億 USDの買収は記憶に新しい。
あまり詳しくはないが、AI 分野のベンチャーについても記事を目にすることは多い。
ヘルスケア分野でも Theranos の企業価値の増加はよくニュースにあがる。
個人的に気になったのは、終始話の中心にあったのは「これまでのWEBサービス」にフォーカスしたベンチャー投資だったこと。
GREE や DeNA、CrowdWorks など、確かに国内では何かと話題に上がることの多い企業だが、世界に新しい何かを提案するほどのスケールがあるかと言われると、実感がわかない。
ひょっとすると、「モノのビジネス」に対する知識や投資ノウハウが投資家の間にまだ溜まっていないのかもしれない。
質疑応答のとき、ある壮年の方が
「IT 分野の投資については非常に良く分かったが、『モノづくり』についてはどう思っているのか」
と言われた時の場の凍りついた感じがなかなか面白かった。
きっと誰にも分からなかったのだろうし、スケールする可能性そのものが分からない(試算できない)のだと思う。
自身がプロダクトデザイナーということもあり、これまでの生活の興味の中心はいつも
「衣・(食)・住」
と
「遊・登・泳」
に関するものだった。
画面の中の世界に心の充実を見いだしたことは一度もない。
同じ US 発のサービスでも GoPro を使ってのアクティビティや動画をいじる方が好きだし、Google よりも Apple のビジネスモデルの方が好きだ。
自分のオリジナルで組み上げた自転車を漕ぐ疾走感や、愛車のクラシックミニの挙動やダイレクトな操作感、初めてヨーロピアンビッグシングルに乗った時の笑いがとまらないわくわく感など、「モノ」をもっと突き詰めて、便利でより良い姿にデザインしたい。
WEB サービスの開発よりも、よっぽどリスキーでたくさんの行動が必要(だと勝手に思っている)だが、ひとつずつクリアしていきたい。
A.Oono
Borderless Inc.
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