少し前の話ですが。。
2015 年 2 月号の Young Machine 誌にデザインスケッチを掲載していただきました。
企画の意図としては、「現代にフィットした」モーターサイクルデザイン、ということでした。
ライディングが趣味の方は詳しいと思いますが、バイクにはカテゴリーがいくつかあります。
Triumph や Yamaha SR などのクラシック/カフェレーサー、Harley Davidson などのアメリカン/クルーザー、BMW や Ducati などのヨーロピアンスポーツ/ネイキッド、Husqvarna や KTM のオフロードなどなど。。
同じデザインでも呼び方が違ったり、ちょっとした違いでも別のジャンルにカテゴライズされたり、いろいろな名称があり、正直ちょっとややこしいです。
そんなジャンルの中でも、最もピュアでシンプルなジャンル、それが Super Sport です。
このスーパースポーツというジャンルはクルマで言ういわゆるスポーツカー。
Porsche や Ferrari、Lamborghini などを思い浮かべてもらうとわかりやすいかもしれません。
このジャンルは「速く走る」ことを最大の目的とした速度重視のモデルで、快適性や走破性といった機能はほとんど求められません。
その分デザインがシンプルで、メッセージを明快に打ち出すことができます。
外装カバー類は全て風を美しく整流するために設計され、その目的のもとにライダーの運転姿勢、ライディングポジションが決まります。
エンジンの熱気が外装の内側にこもらないよう空気孔やアウトレットが設けられたり、ライダーの空気抵抗を最小化するためにタンクがえぐり込まれたりします。
また、操作性の向上やハンドリングのしやすさが総合的に「速さ」につながるので、メーターパネルの位置や大きさ、車両全体の重心バランスの最適化が重視されます。
このスケッチのように、排気マフラーをショートタイプにしてミドルレイアウトするのは最近の流行ですね。
参考:MT-09
このスケッチは三気筒をイメージしたので、エキゾーストパイプ三本をサイドカバーの横っ腹からのぞかせてアピールしました。
乗り物好きには、この管楽器のようなディテールのファンという方が結構いらっしゃいます。
F1 のエンジンも最高に美しいですね。(特に Ferrari V8 とか)
他にもエンジニアプラスティックをイメージしたモノコックフレームや、空気整流効果のあるハンドガード、ヨットのセンターボードをイメージしたリアカバーなど、いろいろとアイデアを盛り込ませていただきました。
カラーリングは Yamaha の初代 R1 をイメージしています。
アッパーカウルの Y 字のライン、特徴的ですよね。
以前、R1(2012年モデル)のフェイス周りのデザインに関わったときにも、このアイデアを提出しました。
これは製品化されて嬉しかった。。
掲載いただいたスケッチは、Yamaha と Honda の伝説的なエンジニアの方の対談企画をもとに起こしたもので、実現させるものではありませんが、デザイナー(特にプロダクトデザイナー)はスケッチ力がとても大事だと思います。
YouTubeでスケッチの進め方を紹介していますので、もしご興味があれば、是非ご覧ください。
Part 1 : Pencil
Part 2 : Pen
Part 3 : Paint
https://www.youtube.com/watch?v=E8qN8bb6iS0
A.Oono
Borderless Inc.
0 件のコメント:
コメントを投稿